目 次
Q.矯正専門医院と一般の治療も行っている歯科医院ではどちらがいいのですか?
Ans.一般的に言いまして、矯正専門医院の方が、矯正装置、器具などの情報やテクニックにおいて優れている場合が多いです。
しかし、矯正治療というものが、長年、見た目の美しさのみを追求してきたために、正しい噛み合わせについての理論の習得が不十分な先生も多いのです。
一般の治療もする歯科医院(一般の医院と呼ぶことにします)でも、噛み合わせの考えが不十分な人は多くいます。
矯正の専門医の先生の中にも、一般医の先生の中にも、噛み合わせ治療の素晴らしい先生はいます。
ですから、噛み合わせの知識が同じだとすれば専門医の先生の方がいいと思います。
結論としましては、矯正の技術も大切ですが、それ以上に、正しい噛み合わせ理論を持っているということが一番大切になってくるのです。
正しい噛み合わせ理論があるかないかをどうやって判断するか
では、正しい噛み合わせ理論があるかないかをどうやって判断するかということになるのですが、それは、治療を受けた方の感想を聞くのが一番確実です。
けれど、そういう人がいない場合は、何件か治療相談にまわって、納得のいく説明をしてくれる所を捜すべきです。
以前は矯正治療というものは、専門的に勉強した先生のみが行なえる特殊な技術のように思われてきました。
ところが、現在では、一般の医院でも矯正治療を行なっているところが急速に増えてきました。
美容的なことだけが注目されていた昔と違って、顎関節症の治療、噛み合わせ治療の一手段として、矯正治療なしでは考えられない現在では、どの歯科医院でも矯正治療を避けて通れない時代が来ているのです。
一概にどちらがいいとは言えないので、一般論として、専門医と一般医のメリットとデメリットをあげていきたいと思います。
専門医のメリットとデメリット
まず、専門医の先生は大学などで矯正のみについて勉強していたのですから、矯正器具、材料、ワイヤーの曲げ方などのハード面に関しては、一般医よりも知識が多いです。
一方、矯正のみを勉強していたので、普通の治療は行なえず、他の治療は、矯正治療後に一般医の先生に依頼しなくてはいけません。
仮に矯正治療までが正しく治療できたと仮定しても、その後に被せたりする治療が必要な場合、その治療を行なう先生が矯正治療を行なった先生と同じ噛み合わせの考えを持っていない場合、今までの矯正治療が台無しになってしまうこともあります。
一般医のメリットとデメリット
逆に一般医の先生で、噛み合わせの知識は十分あるのに矯正の技術がないために、他の矯正専門医を紹介せざるを得ない場合、自分の意図する噛み合わせの治療とは違う噛み合わせを作られると、今後、患者様に矯正治療を勧められなくなったり、矯正治療はしない方がいいですよと言わざるを得なくなります。
一般医の先生の中には、矯正治療に否定的な意見の先生がいます。
そういう先生は、すごく噛み合わせを勉強していて、従来の矯正治療に多くの疑問を抱いている先生と、全然噛み合わせの知識のない先生の両極端にわかれます。
一般医の先生に矯正治療してもらえるメリットは、治療の開始から終了まで、全ての責任がその先生にあるのですから、何か不都合があった時はその先生に責任をとってもらえるというということです。
「噛み合わせの知識」「矯正治療の知識と技術」「人間性」
噛み合わせの知識に関しては、矯正専門医でも一般医でも、勉強している人と勉強していない人の格差は大きいので、どちらの方が確実だということは言えません。
一番怖いのは、噛み合わせの知識の少ない一般医が、見よう見まねで矯正治療を行なうことだと思います。
アメリカのように各治療ごとに専門医を持つことと、日本のように包括的に全ての治療を行なうことは、双方ともに、メリットとデメリットがあるので、長年議論され続けています。
矯正専門医、一般医に関係なく、“噛み合わせの知識”“矯正治療の知識と技術”“人間性”の三点の合計点が高い人ほど、いい先生だと思います。
Q.矯正治療の途中で転院はできないのですか?
Ans.転院は不可能ではありませんが、矯正治療は医院によって、治療方法、扱う装置、料金設定などいろいろな面で違いがあるので、なるべく同じ歯科医院で治療を終えることをお勧めします。
特に料金的には、転院に伴い余分な治療代がかかってしまう場合がほとんどです。
そうはいっても最低でも数ヵ月、長ければ数年のおつきあいになるのですから、途中で人間関係がおかしくなったり、治療方法に不信感を持った場合などは、転院したくなる気持ちも分かります。
治療代を含めていろいろな問題が生じても、それでも構わないと思えば転院も仕方のないことなのかもしれません。
なるべくそうならないように治療前に十分話し合い、料金、治療方法、先生の人柄、医院の雰囲気など、いろいろなことを考慮して、数件は相談に行ってから決定した方がいいと思います。
同じ質問をしても医院によって答えが違ったりしますので、自分でよく考え、どちらの先生の考えが自分に合っているかなどを判断して慎重に決断して下さい。
Q.専門知識のない患者様としては、自分に合った治療方法をどうやって選んでいけばいいのですか?
Ans.まず、自分で基本的な治療の知識ぐらいは勉強して、何件か治療相談に行って、同じ質問をしてみるのがいいと思います。
それで一番納得の行く歯科医院で治療を受けるのがいいと思います。
医療においても、最低限は患者様にも勉強してもらって、自己責任で歯科医院を選択する時代になってきていると思います。
Q.矯正治療を行う一般の歯科医院も増えているのですか?
Ans.矯正治療と言うものは、一昔前までは、大学卒業後、矯正技術のみを数年学んだ人間だけが行える特殊な技術だと考えられていて、一般の歯科医師は一切、手を付けてはいけないというように思われていました。
従って、虫歯などで治療をしている患者様やその家族が矯正治療を希望した場合は、近所や付き合いのある矯正歯科医院を紹介されていました。
ところが、不正な噛み合わせの患者様が増えてきて、削ってかぶせる治療による方法だけでは限界もあり、矯正の技術無しには、噛み合わせの治療を行っていくことが不可能な患者様も増えてきて、一般の先生も矯正を手がけるようになってきたのです。
現実に矯正治療を行う一般医の先生が増えてきて、矯正専門医という領域が一般いによってあらされ始め、今ではその境界線があやふやになってきています。
地方では、未だに矯正専門医しか矯正治療を行わないところも多く見られますが、都心部に行くほど一般にも矯正治療を行っています。
Q.矯正専門医のほうが技術的には優れているのですか?
Ans.これは、はっきりと答え難い質問ですね。
矯正治療の専門のトレーニングを受けた先生のほうがその治療に長けているはずですから、技術的に優れているように感じます。
しかし、そういったハード面は少し訓練を積めばすぐに追いつけてしまいます。
矯正治療で最も大切なことは、審美的にも機能的にも正しい噛み合わせを作っていくことなのです。
今までの矯正治療の目的は、見た目の歯並びを追求することでした。
だから噛み合わせの正しい考え方を持っているかどうかは、専門医と一般医の間に違いがあるのではなく、その人個人によって大きな格差があるのです。
だからといって、「貴方は噛み合わせの勉強を十分していますか」と歯科医師に聞くわけにもいきません。
「いいえ」と答える人は誰もいないでしょう。
矯正専門医であるが一般の歯科医であるかよりも、どういう噛み合わせの考え方を持っているかが大切になってくるのです。
Q.矯正治療が必要かどうかのセルフチェックの方法を教えて下さい。
Ans.
- 片方で噛む癖がある
- 歯ぎしりをする
- ガムや固いものを噛むと顎が疲れやすい
- 口を開けるとカクッと音がする
- 食事中に間違って頬をよく噛む
- 出っ歯、受け口、乱ぐい歯など外見上にも歯並びに問題がある
- 歯の数が正常な人より少ないと言われたことがある
- 朝起きると、歯をグッと噛みしめていることが多い
- 肩や首がこる
- 頭痛がある
- 耳鳴りがしたり、難聴気味である
- 鼻がつまりやすい
- 目の奥が痛かったり、目が充血しやすい
- 疲れやすく、疲労が取れにくい
- 夜によく目が覚めたり、眠りが浅いと感じる
- 生理痛がひどかったり、生理不順である
- めまい、不整脈など原因不明の体調不良がある
- イライラ、ぼんやりすることがある
以上の項目に当てはまることが多い人ほど矯正治療が必要であり、治療後に改善される可能性が高いということです。