矯正治療の種類いろいろ

監修:青山健一

はじめに

矯正治療にもいろんな呼び名があるため、歯科関係の方でないと頭が混乱してしまいがちです。(笑)
何にフォーカスするかで呼び名が違ってきますので、ここで整理して矯正治療で呼ばれている名称を整理し説明してみましょう。

1、治療する時期での呼び方の違い

以前は、「矯正治療は小学生~高校生ぐらいのあいだに治療するもの」という考え方が主流で、矯正治療は子どもの治療であるとされていました。
それに対して大人がする矯正治療を成人矯正と分けて呼んでいました。

今では、大人の矯正が珍しくなく、わざわざ成人矯正と呼ぶことに違和感があるようになってきました。
最近ではシニア矯正と呼ばれて60歳以上の方が矯正治療をすることも珍しくなくなっています。

矯正治療の種類いろいろ

子供の矯正

一方、子どもの矯正(小児矯正)の中でも、乳歯の矯正や、乳歯と永久歯が混在する時期に噛み合わせを中心に考えて治療する矯正治療を咬合誘導と呼びます。
子どものときにする咬合誘導治療としては、最小限の噛み合わせだけでもきちんと治しておけば、顎のズレが顔や全身の骨格などへの成長に対して悪影響を少なくできるという考えから、治療を進めていきます。

咬合誘導は矯正治療というよりは、将来的な歯並びの悪化を防ぐための予防治療というスタンスの治療法になりますので完全に治すための治療法ではありません

基本的には、大人であろうと子どもであろうと、歯を動かすことや治療過程に大きな違いがあるわけではありませんが、矯正治療をする時期によっていくつかの呼び方があるのです。

2、装着する器具での呼び方の違い

矯正装置を歯の表面につけるか、歯の裏側につけるかで、呼び方が違います。
一般的に矯正治療といえば、歯の表面につける装置を意味し、歯の裏側につける装置を舌側装置と呼び、裏側からする矯正を舌側矯正と呼びます。

また、歯に矯正装置をつけないで、取りはずし型の入れ歯のようなもので歯を動かす矯正装置のことを床矯正装置と呼び、治療法を床矯正と言います。そして最新の矯正治療として、インビザラインと言ってマウスピースのみで動かす矯正方法もあります。

それぞれの装置にはメリットとデメリットがありますので、症例によって使い方が違ってきます。

表側矯正

表側矯正

舌側矯正

舌側矯正

 

床矯正

床矯正

インビザライン

インビザライン

 

3、治療する部位での呼び方の違い

一般的に、矯正治療はすべての歯に装置をつけて治療していきますが、すべての歯を矯正治療するのではなく、部分的に治したいところだけ治療する部分矯正のことをMinor Teeth Moovementの頭文字をとってMTM(部分矯正)と呼びます。
部分矯正の反対ですべての歯を動かす矯正治療を全顎矯正と呼びます。
ただし、部分矯正でできる治療とできない治療があります

患者さんが部分矯正で治したいという希望があれば、歯科医もなるべく早く簡単に、その部分の治療だけしてあげたいと思うのですが、噛み合わせ的な問題や、歯のスペース的な問題で、どうしても全顎矯正で治療しないと患者さんが満足されるレベルまで治らない場合もあるのが現実です。

部分矯正で十分に満足してもらえるのか、全体矯正でないと満足してもらえないのかは、十分話し合って見極めなければなりません。

MTM(部分矯正)

矯正器具

全顎矯正

全顎矯正

 

☆矯正治療中の矯正装置の見た目の考え方

矯正治療はしたいのだが、なかなか決断できないという人はかなりいます。
その理由には、(治療費が)高い、痛い、見た目がいやなど、人それぞれにいろいろな要因があることと思います。

その中で一番多い理由が、治療中の見た目が気になるということだと思います。
矯正治療をやってみたい、あるいはやったほうがいいことは十分に頭の中ではわかっていても、いざ実際に矯正治療を始めるとなると、本当に3ヵ月~半年(クリニックによっては約3年)近くも耐えられるのか不安なことだと思います。

きれいになりたいのにきれいになるまでの間は、今まで以上に見た目が変なのは耐え切れないという気持ちもよくわかります。
矯正治療はある意味で先行投資のようなもので、治療後に見た目や体調がよくなる代わりに、3ヵ月~半年近くは矯正装置をつけることを我慢してください、というスタンスになってしまいます。

矯正治療をしている人をまわりの人はいったいどんな目で見ているのでしょうか?
自分の歯並びや噛み合わせに自信を持っている人は少ないですから、思い切って矯正治療をしているという人をうらやましく思う人は多いのではないでしょうか。

矯正をしている人の歯は歯抜けや虫歯や入れ歯で見た目が変なわけではないのですから、矯正装置の見た目が変でも、ある期間、歯を動かすためにつけている器具であることは誰もが知っているのですから、「この人は、矯正しているんだ」と純粋に思うだけで、「何だこれは?醜い歯だな」とか「変な歯」と思うことは決してありません。
むしろ「大変なのに頑張っているな」「自分もしたいけど決心つかないなぁ」と思っている人は多いと思います。

矯正装置を一生使うのだという目で見る人は一人もいないのですから、矯正治療に対してポジティブな感想を持つことはあっても、「変な歯」「汚い歯」「醜い歯」などのネガティブな見方をする人のほうが少ないと思います。

私自身は、歯科医であることもありますが、電車の中で矯正治療をしている人を見つけると、思わず「がんばれよー」「後でいい思いができるからね」と応援したくなります。
それに最近ではインビザラインと言って、マウスピースのみで歯を動かす矯正方法もありますので、矯正期間中誰からも気づかれずに矯正治療を終えることも可能です。

インビザラインのマウスピース

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
最近では、削ってかぶせる審美治療を「セラミック矯正」と呼ぶ人もいて、「歯を削ってかぶせるのは矯正治療ではないだろう!!」と突っ込みを入れたくなりますが(笑)、部分矯正のことをプチ矯正と呼ぶ人もたまにいて、呼び方がいくつかあるため、混乱しないように説明させていただきました。

呼び名はあくまで共通言語で、クリニックと患者さまが理解しやすくするためのものなので、あまり厳密にこだわる必要はないかとも思います。

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