【監修:銀座青山You矯正歯科 大阪梅田院 院長】

矯正装置が何度も外れると、「自分の歯磨きが悪かったのでは」「硬いものを食べたせいかも」と自分を責めてしまう方がいます。しかし、繰り返す脱離は患者さん側だけでなく、装置をつける際の乾燥、歯の表面処理、噛み合わせの確認など、治療する側に原因がある可能性もあります。YOU矯正歯科では、原因を分けて考え、外れたときは放置せず早めに連絡することが大切だと考えています。
矯正装置が何度も外れるのは患者さんだけの責任ではありません
矯正装置が一度外れたからといって、ただちに歯科医師の技術不足とはいえません。噛む力、歯ぎしり、硬い食べ物、被せ物の材質など、どれだけ注意しても避けにくい条件があるためです。
一方で、何度も繰り返し外れる場合は「矯正ではよくあること」と済ませず、なぜ外れるのかを確認する必要があります。YOU矯正歯科に寄せられるセカンドオピニオン相談には、他院で装置が何度も外れ、治療が進まないことに不安を感じている方もいます。
当院では、繰り返す脱離の原因を、まず「医院側の接着操作や治療設計」と「患者さんの噛む力・お口の状態・歯の材質」に分けて考えます。

「医院側と患者さん側、それぞれの原因を動画でも分かりやすく解説しています。文章とあわせてご覧ください。」
原因を曖昧にしたまま再接着を繰り返すのではなく、どこに問題があるのかを見直すことが大切です。
医院側に原因があると考えられる4つのポイント
1.装置をつける歯を十分に乾燥できていない
ブラケットなどの矯正装置は、専用の接着材料で歯につけます。接着の瞬間に唾液、呼気の湿気、血液や歯肉からの液体が入り込むと、接着力が落ちることがあります。
濡れたガラスにセロハンテープを貼ると、すぐにはがれてしまいます。お口の中でも、それに近いことが起こります。そのため、歯にしっかり風を当てて乾燥させ、唾液が入らないようにする操作は、地味に見えても非常に重要です。
YOU矯正歯科では、装置が繰り返し外れる場合、接着時に乾燥した状態を保てていたかは、まず確認したいポイントの一つだと考えています。
2.装着前の歯面清掃が不十分
歯の表面には、目では確認しにくい薄い膜や汚れが付着しています。装置をつける前に専用のブラシやペーストで歯面を清掃し、接着に適した状態へ整える必要があります。
接着材料は、処理した歯の表面に細かく入り込むことで装置を保持します。前処理が不十分であれば、接着材料の性能を十分に生かせず、装置が外れる原因になり得ます。
3.上下の歯と装置がぶつかっている
上の歯が下の歯につけた装置へ直接強く当たれば、接着材料が適切に使われていても、噛むたびに物理的な力がかかります。接着だけでなく、装着後の噛み合わせまで確認することが必要です。
ぶつかる可能性が高い部位では、歯科用樹脂を奥歯などに盛って噛み合わせの高さを調整する「バイトアップ」を行うことがあります。

近年は、口腔内の3Dデータを用いて装置の位置や噛み合わせを検討する方法もあります。YOU矯正歯科としては、こうした技術も活用しながら、強く当たりそうな場所を事前に見つけ、一手間かけて対策することが大切だと考えています。
4.接着手順や装置をつける位置にずれがある
接着材料の量、光を当てて固める時間、装置をつける位置など、ブラケットの接着には複数の細かな工程があります。同じ手順書を使っても、歯の形や装置の位置に応じた調整が必要です。
また、3Dデータ上で装着位置を計画し、専用のトレーを用いて装置をつける方法もあります。ただし、新しい方法を使うことだけが結果を保証するわけではありません。大切なのは、選んだ方法の特性を理解し、基本的な接着操作と噛み合わせの確認を丁寧に行うことです。
装置が何度も外れ、原因や対応について十分な説明がない場合は、担当医へ状況を確認することが第一歩です。医院選びを見直す際には、矯正歯科医院を選ぶときの考え方も参考にしてください。
歯科医院の技術だけでは防ぎきれない3つの原因
1.噛む力、歯ぎしり、硬い食べ物
歯を強く食いしばる方、就寝中に歯ぎしりをする方、スポーツ中に力を込める習慣がある方では、矯正装置へ大きな負担がかかります。エラが張っている骨格の方も、噛む力が強い可能性を考えて確認します。
氷や硬いせんべいなどを装置のある部位で強く噛めば、接着された装置が外れることがあります。このようなケースは、接着操作だけでは完全に防げません。装置がよく外れる方は、外れた日時だけでなく、食べたもの、歯ぎしりや食いしばりの有無も担当医に伝えてください。
2.銀歯・セラミック・ジルコニアなど被せ物の材質
成人の矯正では、銀歯、セラミック、ジルコニアなどの被せ物へ装置をつけることがあります。天然歯の表面と被せ物では、適した接着前処理が異なります。とくにセラミックやジルコニアは材質に合った処理が必要で、接着が難しい場合があります。
YOU矯正歯科では、これは歯科医師の技術だけでなく、接着する材質の条件も関係する問題だと考えています。特殊な処理をしても外れやすいときは、被せ物の種類、装置の設計、噛み合わせをあらためて検討します。
3.歯肉の炎症や清掃状態
歯磨きが十分でない状態が続くと、歯肉が炎症を起こして腫れ、装置をつける際に出血や組織液が生じることがあります。水分や血液が接着面へ入ると接着の妨げになるため、装置をつける処置だけでなく、その前のお口の状態も大切です。
当院の考えでは、繰り返す脱離を減らすために見落としてはいけないのが、この口腔衛生の問題です。患者さんを責めるのではなく、磨きにくい場所と適した清掃器具を一緒に確認する必要があります。
矯正装置を外れにくくするためにできる3つのこと

1.歯ブラシに補助清掃用具を組み合わせる
ワイヤーの下や装置の周囲は、通常の歯ブラシだけでは毛先が届きにくい場所です。歯間ブラシ、先端の小さなタフトブラシ、水流で汚れを洗い流すウォーターフロスなどを使い分けると、細かな部分を清掃しやすくなります。
矯正を始める前に歯科医院でクリーニングを受け、歯肉の炎症を整えておくことも、当院が勧める準備の一つです。ただし、必要な清掃方法や器具は歯並びと装置によって異なるため、担当医や歯科衛生士に確認してください。
2.歯や被せ物の状態に合う装置・接着方法を検討する
口腔内スキャナーで歯の形を読み取り、3Dデータをもとに装置の位置や形を検討する方法があります。YOU矯正歯科では、被せ物が多い方などでは、材質や歯の曲面、噛み合わせを確認し、その方に合う装置と接着方法を選ぶことが大切だと考えています。
ただし、3Dスキャナーがあるだけで装置が外れなくなるわけではありません。乾燥や歯面清掃などの基本操作、被せ物に応じた前処理、装置へかかる力の確認を組み合わせて考える必要があります。
3.外れたら次の予約まで待たずに連絡する
YOU矯正歯科が最も大切だと考えているのは、装置が外れたら早めに医院へ連絡することです。「また受診するのは申し訳ない」「次の予約まで待とう」と遠慮する必要はありません。
外れた装置の種類や場所によって、すぐに付け直すべきか、次回まで待てるかは異なります。まず電話などで状況を伝え、受診時期について医院の指示を受けてください。

外れた状態を長く放置すれば、予定した矯正力がかからず、治療の進行へ影響する可能性があります。
矯正装置が外れたときのFAQ
Q1.装置が一度外れたら、歯科医院の技術不足ですか?
A1,一度の脱離だけで技術不足とは判断できません。噛む力、歯ぎしり、硬い食べ物、被せ物の材質など、医院側だけでは防ぎきれない原因もあります。ただし、何度も繰り返す場合は、接着時の乾燥、歯面清掃、噛み合わせ、接着手順を含めて原因を確認する必要があります。
装置の脱離以外の注意点も知りたい方は、矯正治療で起こり得るトラブルをご確認ください。
Q2.装置が何度も外れるとき、医院へ何を確認すればよいですか?
A2,「同じ場所が外れているか」「上下の歯が装置に当たっていないか」「天然歯か被せ物か」「接着前の歯肉に炎症や出血がなかったか」を確認してください。YOU矯正歯科では、単に付け直すだけでなく、繰り返す理由を分けて考えることが重要だと考えています。
Q3.外れた装置は次の予約まで待ってもよいですか?
A3,自己判断で待たず、まず治療中の医院へ連絡してください。装置の種類や外れた場所によって対応の緊急度が異なるため、状態を伝えたうえで受診時期の指示を受けることが大切です。
Q4.自宅でできる予防はありますか?
A4,硬いものを装置のある部位で強く噛まないことに加え、歯間ブラシ、タフトブラシ、ウォーターフロスなどで装置の周囲を清潔に保ちましょう。歯ぎしりや食いしばりに心当たりがある場合も担当医へ伝えてください。
Q5.被せ物の歯は装置が外れやすいのですか?
A5,被せ物の種類によって、天然歯とは適した接着前処理が異なります。とくにセラミックやジルコニアへの接着は難しい場合があるため、材質に合う処理、装置の設計、噛み合わせを含めた検討が必要です。
この記事の要点

- 矯正装置が何度も外れる場合、患者さん側だけでなく、乾燥、歯面清掃、噛み合わせ、接着手順など医院側の要因も確認が必要です。
- 噛む力、歯ぎしり、硬い食べ物、被せ物の材質、歯肉の炎症など、歯科医師の技術だけでは防ぎきれない原因もあります。
- YOU矯正歯科では、原因を切り分け、同じ場所への再接着だけを繰り返さないことが大切だと考えています。
- 歯ブラシに補助清掃用具を組み合わせ、装置周囲と歯肉を清潔に保つことが予防につながります。
- 装置が外れたら次回予約まで自己判断で待たず、まず治療中の医院へ連絡してください。
矯正装置が繰り返し外れて不安な方は、外れた場所や回数だけでなく、噛み合わせ、歯ぎしり、被せ物、歯肉の状態まで含めて原因を確認することが大切です。

