これからの歯科医の役割
今まで歯科医というのは、削って、つめて、かぶせて、抜くと言った、修理屋的な職業のように考えられていて、他科の医者からは、歯医者は医者ではないと言うように見られることもありました。
しかし、時代と共に人間の健康を管理していく上で、かみ合わせの良し悪しが、人体に多大な影響を与えることがわかってきて、歯はその噛み合わせを安定させる道具として、とても大切なものであるということが認識され始めました。
フッ素やキシリトールの登場によって、虫歯は確実に減少してきています。
歯周病も、デンタルフロスや歯間ブラシの普及によって確実に減ってきています。
近い将来、これら2つの疾患がなくなる日が来るのではないかと感じています。
虫歯、歯周病の減少に反比例するかのように増加してきているのが、不正な噛み合わせの患者様なのです。
噛み合わせは大事だとわかっても、行く先々の歯科医院で違う説明をされたり、違う治療方法を行われたりして、困惑している患者様たちが、ベーシックな知識としてこのホームページで勉強されて、正しい矯正治療や噛み合わせ治療を行う歯科医院を捜せることを祈っています。
目 次
矯正治療は体にいい(インタビュー)
Q.青山先生の話では、矯正治療を全身の健康と結び付けて説明されるので、一般的には実感しづらいのですが、健康の改善が目的で歯列矯正されるという方は増えてきているのですか。
A.私も矯正治療を始めて数年は、見た目をきれいにすることを目的に治療をしていました。
当初から、治療後に患者様とお話をして、ある時期から、全ての患者様に治療前と治療後に、そういった関連症状を20項目ほど記録していくようにしたのです。
すると、正しい噛み合せは、体の不快症状を取り除くことができるということが、私の中で確信に変わっていきました。
今は、見た目ではなく、体調の改善がメインの目的で矯正治療される方が多くいらっしゃいます。
Q.なぜ歯の噛み合わせと肩こり、頭痛、不眠症などの症状が関係するのですか。
A.それは、噛みあわせが悪い為に、食事などで上下の歯が触れるたびに、顎周辺の筋肉がねじれた位置で収縮し、筋肉に過度の緊張が生じて、異常に収縮して硬くなり、肩こり、首のこりといった、筋肉のトラブルが生じてくるためです。
筋肉には、意識して動かす筋肉と、無意識で条件反射的に動かす筋肉がありますが、食事は無意識で、一定の動きで連続して食べ物を噛み砕き、食片の塊を唾液と一緒に飲み込むようになっています。
この一連の筋肉の運動が不自然な動きで行われれば、筋肉にはとても負担がかかってしまうのです。
また、筋肉のねじれによって、首の頚椎の中の神経や、血管に負担を与えることになり、ひどい生理痛、めまい、吐き気、疲れやすい、頻脈まで、一見、歯とは全然関係のない症状が引き起こされてしまうのです。
自律神経失調症の人と顎関節症の人の症状がほぼ同様であることは、どちらも交感神経に異常をきたして生じるからなのです。
Q.内科などで、自律神経失調症であると診断された場合、その先生は患者様に、噛み合わせ治療をしなさいと勧めたりすることはあるのですか。
A.残念ながら、今の医療制度では、それぞれの科が独立して診療を行っている状態であって、各科との連携が十分に取れているわけではないので、他科から紹介されるということはほとんどありません。
それに、不正な噛み合わせと全身の不快症状の関係は、完全に科学的に証明されているわけではなく、臨床において、結果的に多くの患者様が改善されたり、治ったりしているということなのです。
しかし、厚生労働省も、医療費削減の為に本腰を入れて、噛み合わせと全身の諸関係に注目し始めて、力を入れ始めたと聞いています。
いびきの恐怖
正常な人は鼻で呼吸する時に気道は十分に開いていますが、いびきをする人は舌が気道をふさいで空気の通り道が狭くなっていびきが起こります。
就寝中に呼吸停止を繰り返す睡眠時無呼吸症候群は、いびきが悪化して気道が完全に閉じてしまうと、命にかかわる危険すらあるのです。
ですからいびきは熟睡の証拠のように軽く考えているととんでもないことになるのです。
無呼吸の時間があるというのは、その時間息を止めているのですから、首をしめられているのと同じ事で、無呼吸の時間が長くなると、脳にも酸素がいかなくなり眠りが浅く、疲労感やボーとする時間も増えてきます。
いびきは太ったおじさんに多いイメージがありますが、肥満により舌も大きくなって、仰向けに寝たときに重力で舌の根元が下がって気道を圧迫するので、太った人にいびきが多いのです。
いびきの治療方法
いびきの治療方法には、のどちんこ(口蓋垂)の切除手術や空気を送り込む呼吸装置などいくつかありますが、スリープスプリントというマウスピースのようなもので簡単に治ることがあります。
口や歯やアゴの位置などが、呼吸や睡眠、もっと言えば命とまで関係しているということなのです。
いびきは気道が完全に閉塞はしないが、極度に狭くなった場合に生じ、完全に閉じた状態が睡眠時無呼吸症候群となります。
従っていびきをしている人の中の数%が、睡眠時無呼吸症候群となってくるのです。
睡眠時無呼吸症候群による新幹線の運転中の居ねむり事件がありましたが、社会生活をしていくうえで重大な事故につながることも多々あるのです。
また、小児が睡眠時無呼吸症候群になると、乳幼児の突然死に繋がったり、小児の脳障害の原因にもなりえるのです。
治癒率などはスタッフに聞いてみるといい
矯正治療や噛み合わせの治療方法には、幾通りもの考え方があるので、治療結果も様々であります。
患者様が一番知りたいのは、このクリニックで治療した人達はどういう治療結果だったのだろうか、ということではないでしょうか?
人間の体の事ですから、治療前に頭痛、肩こり、腰痛など全ての不快症状が、確実に治りますとか、全員の歯並びが、同じ模型のようになります、ということを約束できる歯医者は、世界中に一人もいないと思います。
しかし、このクリニックでも治癒率が90%なのに自分が治らなかったのなら、仕方がないと思えても、治癒率が30%のクリニックで治らなかったのなら、他の治癒率の高いクリニックにかかれば治る可能性もあるのです。
このクリニックに来る患者様のうち、どれくらいの人が満足されているのか
いったい、このクリニックに来る患者様のうち、どれくらいの人が治っているのか、満足されているのかを、患者様は知りたいのです。
30%ぐらいしか良くなっていないのに、噛み合わせの治療に自信を持っている先生もいれば、80%ぐらい良くなっているのに、謙虚な姿勢で、治療をされている先生もいるのです。
実際に、どれくらいの患者様が喜ばれたり、満足されているかは、そのクリニック内のスタッフにしかわからないのです。
以前、他の噛み合わせ治療で有名な医院に通っていた方が、待合室で待っているときに、10年間そのクリニックに通い続けても良くなっていない人とお話しする機会があり、その人自身も1年通っていたが、このままでは自分も10年近く通わされると思って、転院を決意したと言われていました。
この人のように、待合室で同じ症状の人と話が出来れば運がいいのですが、なかなかそういう偶然はないものです。
クリニック内の内情を知りたい人には
そこで、裏ワザとして、そのクリニックの受付やスタッフの中で、真面目そうでウソのつけなさそうな人を見つけて、「噛み合わせ治療で本当に体調がよくなるんですか?」「1年ぐらいできちんと矯正は終わるんですか?」等、自分が一番聞きたいことを聞いてみるといいと思います。
院長の中には平気で誇張した事を言う人はいますが、女性スタッフは一般に正義感が強く、いい加減な事を言うと自分に責任がふりかかると困るので、ウソをつくのは上手ではないと思います。
普通の虫歯の治療では、そこまで慎重になる事もないと思いますが、噛み合わせ治療や矯正治療では、金銭面、治療日数などいろんな意味で大変な治療なので、どうしてもクリニック内の内情を知りたい人には、この方法はいいと思います。
咀嚼システム
筋肉には、意識して動かす筋肉と、無意識で動いている筋肉があります。
心臓や肺など、生きた瞬間から死ぬまで本人の意識とは関係なく動き続けます。
スポーツなどで、飛んだりはねたりする時に動く筋肉は、自分の意識で脳からの指令によって筋肉が動き始めるのです。
食事も、一旦口に食べ物が入ったらモノを噛み砕き、飲みこむまで、自分でこれぐらいの大きさになったからもう少し噛もうとか、もうそろそろ飲み込もうとか意識するものではないですよね。
食べ物が飲み込まれるまでの運動が、一連の咀嚼運動として存在しているのです。
その時に正しい噛み合わせの人は、アゴの動きと筋肉の動きが一致していて体に無理がかからないが、悪い噛み合わせの人は、歯が触れる瞬間にアゴがズレ込むのを体が覚え込み、不自然な動きが咀嚼という一連の動きの中に組み込まれ、筋肉に過度の負担をかけることになってしまうのです。
片足だけにゲタをはいて歩いたり、走ったりすると、はじめの数歩は違和感を感じますが、それが習慣になれば、それが普通になり、それで生活できるものなのです。
しかし、そういう悪い習慣が長く続くことによって、足の関節や体に多大な悪影響を及ぼすことになってしまうのと似ています。
どうしても治らない患者様もいる
多くの歯医者が顎関節症の患者様の治療を嫌がる背景
多くの歯医者が、顎関節症の患者様の治療を嫌がる背景には、大きく分けて2つの理由がある。
1つめは、噛み合わせ治療が、分かっていない事が多い難しい治療であることである。
2つめは、長年の噛み合わせ不良のために、常に噛み合わせばかり考えていたり、歯科医院を転々としていたりして、患者様が一種のノイローゼのようになっているから歯科医が正しい治療をしても何かあるとすぐに、噛み合わせが狂ったと、必要以上に神経質になってしまう人がいるからだ。
そういう患者様は、長い間に、いろんな歯医者でいろんな治療の説明を受けてきて患者様自身が自分で治療方法を指示してくる人も少なくない。
歯医者の方も、治療法方に自信がないから、患者様の言われるままに治療していき、いい結果が出ないと患者様の言われるままに永遠に振り回される事になってしまうのだ。
治療に不信感をもっている人の治療は難しい
こういうノイローゼ気味で、精神的に病んでいて、治療に不信感をもっている人の治療は難しい。
精神状態が安定していないので、とにかくイライラしていて、人の揚げ足を取ることばかり言ってきたりする。
このタイプの患者様に困らされた経験を持つ歯医者は、2度と同じような嫌な思いをしたくないので、噛み合わせの治療を避けてしまうようになってくるのです。
もちろん、患者様の言い分が正しくて、歯科医の治療が未熟な場合もあります。
私の医院では、私の著書を読まれて、遠方からも多くの患者様が来院されるため、様々な患者様がいらっしゃいます。
歯科医の治療方法に問題があるのか、患者様に精神的な問題があるのか
以前の噛み合わせ治療が、明らかに問題がある場合などは、当クリニックの治療で改善して喜ばれますが、治療の如何に問題がある場合などは、当クリニックの治療でどんな治療をしても治すことは出来ないので、治療に手をつけないようにしています。
このメルマガは、歯科医師の方も多く読まれているみたいなので、こういう精神的に問題がある人に見られる傾向をお教えしておきます。
- 治療方法に対して、自分の考えを主張して人の言うことに耳を傾けない
- 人に対する感謝の気持ちがなく、常に不平不満、愚痴を言っている。
- 攻撃的な性格である。
- 歯科医院を転々としていて、歯科医師に不信感を持っている。
しかし、歯科医の治療方法に問題があるのか、噛み合わせとは無関係な問題なのか、患者様に精神的な問題があるのかは、正確に判断する事はとても難しい事です。
依頼心の強すぎる人は治らない
噛み合わせのズレから由来する痛みや不快症状がとても大変なことは日々痛感しています。
しかし、依頼心の強すぎる人は、「もっと○○してくれ」「もっと楽になるはずだ」など楽になっていることより、残っている部分にフォーカスを合わせて、感謝するという気持ちが全然ない人は治療していくことは難しい。
たとえば長年あった頭痛が治療後に消えたり、軽減したとしてもそのことを喜ばずに、まだ腰痛は残っているのでどうにかしてくれ、と言ってくる人もいる。
噛み合わせ治療によってずべての症状が必ず消えるわけではなく、他の原因によって生じていることもあるのに、全ての原因が噛み合わせからきていると自分で信じ込んでいる人は、風邪をひいても噛み合わせのせいだと思うほどで、こういうタイプの人は、全体の数%もいないが、大体こういう人は、自分の精神面に問題があるということを決して自覚していないのもやっかいである。
外人の顔と日本人の顔の違い
外人は体は大きいのに、顔が小さいことを不思議に思ったことはありませんか。
おまけに顔が小さいのに親知らずまで、きちんと並んで生えているのです。
この疑問に対する答えは、外人の顔は奥行きがあり、前後に長いのです。日本人の絶壁の頭の人は多いですが、外人の人に絶壁の頭の人は少ないです。
前から見ると小さい顔も、横から見ると幅のある顔をしているのが外人の顔の骨格の特徴なのです。
ですから口の中の歯のスペースが十分あり、親知らずもきちんと生えているのです。
ついでに動物に顎関節症などの顎のズレが生じないのは、動物の歯並びは全て歯の間に隙間があり、多少食べ物が柔らかくなって顎が小さくなったところで、歯が乱れて生えてくることもない為です。
そういう生え方をしているので虫歯や歯周病にもなりにくいのです。
噛み合わせのズレで心まで病んでいる人もいる
噛み合わせの治療を嫌がる先生は多い。それは治療の難しさもあるが、それとともに噛み合わせの悪い人の中には、心の病んでいる人もいるからだ。
噛み合わせを長年わずらえば、体調にもいろんな変化が生じ、苦労が大変なのは十分理解できるが、全ての原因を噛み合わせのせいにしている人がいるのだ。
長年噛み合わせ治療にたずさわってきて、初めの問診をしていて、この人は精神的にやんでいるなと思える人のタイプが自分なりにはわかってきた。
これは、経験上得た直感的なものなので、具体的にはいいにくいが、一番多いのは、すべての原因を噛み合わせのズレと自分で決めつけていて、すぐに他人を責めるタイプの人だ。
歯医者に言われてもそう思う人もいるし、自分で体験的に噛み合わせから来ていると思う人もいる。
とにかく自分で勝手に思い込んでいる人には手の施しようがなく、自分で治療方法まで言いだす人もいる。
そういう人は、風邪を引いたり、水虫が出来ても噛み合わせが悪くなったのではないかと心配してしまうのだ。
すぐに何かあると自分はガンではないかと心配する人と同じだが、噛み合わせの治療はガンと違って簡単に出来ると思っているからもっとたちが悪いのだ。
殆どの人は体調の改善を素直に喜ばれ、感謝して下さるが、心の病んでいる人は100%すべての症状が完治しなければ、満足されず、少しでも症状が残ると治療ミスだと思って、相手を責めてくるのだから、こちらもそういう人を相手にしたくなくなってしまい、自然と点々と歯医者を変えていくようになってくるのだ。
気の毒ではあるがこういうタイプの人は噛み合わせ以前に、自分の心の在り方を変えていかなくては、一生涯不幸な人生を歩んでしまうことになるのだ。
こういう人の話を耳にすると、歯医者の方も、噛み合わせ治療に対して臆病になってしまうのだ。
噛み合わせのズレの程度と噛み合わせ治療の必要性
噛み合わせの治療で訪れる患者様からの質問で「私の噛み合わせのズレはひどい方ですか?」というのと同じように多い質問は「私は噛み合わせの治療をしないといけませんか?」というのがあります。
この質問に対する答えも難しいのです。噛み合わせに問題があるかどうかは、殆どのケースで、パッと見ただけで私には判断できます。
しかし、患者様の悩まれている主訴が100%確実に直るということは断言できない場合もあるのです。
中には、何も気になるようなことはないのに、噛み合わせが悪いのなら治療してくださいといわれる方もいらっしゃいます。
噛み合わせを正しくすることは体にとって、とても大切なことですが、噛み合わせ治療というのは、とても難しく時間も費用もかかる場合も多く、簡単に「さあ噛み合わせの治療をしましょう」と始められるものではないのです。
患者様からすると、何か目に見えて改善したと感じられることがなければ、治療後に「治療して良かった」と思えないのではないでしょうか。
「ムシ歯かあったら全部治療しておいて下さい」というのと「噛み合わせが悪かったら治療しておいて下さい」というのでは、根本的に違う次元の物なのです。
私の判断において、理想的な噛み合わせだと感心するような人は、全体の1%もいないのです。
みなさん大なり小なり何らかの問題を持っていても、それなりに生活されているのです。
従って、当クリニックにおいては、患者様が何かを求めて来院され、その期待に添える場合にのみ治療を勧めているのです。