目 次
失敗しない矯正医院の見分け方
「どういう基準で矯正する医院を選べばいいのですか?」
遠方に住む患者様や親せきからもよくこの質問を受けます。
矯正治療は一般的に一生に一度しか治療されないでしょう。
一度しかしないからこそ、クリニック選びには慎重になって当然だと思います。
実際、治療する医院を安易に決め、転院のご相談に当医院に来られる方が多いです。
虫歯の治療なら転院は簡単です。
しかし、矯正治療での転院は費用なり、治療方針なり、治療期間などいろいろと問題が生じてきますので、治療する前に十分判断してほしい点をいくつかアドバイスさせていただきます。
100パーセント確実に、希望通りの歯科医院を選ぶ基準というものは存在しませんが、いくつかの判断材料になると思われる項目をあげてみたいと思います。
1.矯正治療を受けた人の感想を聞く
実際に長い間矯正治療を受けた人からは、治療中の医院の対応、治療への満足度、治療後に体調にどんな変化があったか、アフターケアは十分だったかなど、いろいろ参考になることを教えてもらえると思います。
矯正治療は虫歯の治療のように2度以上する治療ではないだけに、経験者の意見を聞いてよく研究してください。
2.院長の人間性を観察する
その先生は患者様のことをどのくらい大切に考えているのかを見抜いて下さい。
治療の説明は、患者様にわかりやすく工夫してくれているだろうか。一緒に悩んでくれそうか。お金儲けへの比重が強くないか。思いやりがありそうか・・・。
たった一度の受診や会話で人間を判断することは、不可能かもしれませんが、案外第一印象というものは人間の直感で当たることも多いと思います。
3.スタッフを観察する
「2」とも関連しますが、スタッフの人間性をみれば、院長のことが少しはわかると思います。
「子は親の鏡」といいますが、院長がいい加減な医院はスタッフも必ずいい加減になりますし、院長が患者様を大切に考えている医院はスタッフも患者様を大切に扱います。
院長は、患者様の前でネコをかぶっていいかっこうをしても、スタッフを見れば必ずボロがでますから、スタッフも十分観察して下さい。
矯正期間は決して短くありません。
6ヶ月から12ヶ月の間(クリニックによっては2年~3年)通い続けなければなりません。
その間、不快な対応をされながら通い続けるのは間違いなく苦痛でしょう。
嫌な対応をされれば、治療レベルまで不満に感じてしまいます。
社員教育というのは簡単ではありません。
時間とお金とトップの情熱が必要です。
トップが本気で「いいクリニックにしたい。患者様に最高のサービスをしたい」という情熱がなければ、挫折してしまいます。
トップが諦めれば、クリニックが良くなることは永遠にないのです。
「リーダーが優れた人間かどうかは社員を見れば分かる」(マックス・ドゥプリー)
4.いろいろなことを十分説明してくれる
一昔前は、「医者は専門家なのだから、全てまかせておけばいいんだ!」というような態度が、医者の姿のように思われていました。
しかし、今はインフォームド・コンセントといって、患者様の同意のもとで治療を行うべきであり、何事も患者様に知らせてから治療を行うように変わってきています。
患者様からすると、難しすぎて何を言われているのかわからないこともあるのかも知れませんが、わかるまで質問するべきだと思います。
その時に先生が嫌な顔をするようでしたら、治療が始まって何か質問するともっと嫌な顔をされると思って間違いないでしょう。
わかりにくい説明しかしない先生は、先生の方もよくわかっていない場合があります。患者様の方が理解力がないと卑屈に思うことはありません。
一人の患者様が疑問に思っていることは、他の人も疑問に思っています。
恥ずかしがらずに十分質問して納得して下さい。
5.矯正治療のメリット、デメリットの両面を説明してくれる
矯正治療を受けるかどうかを決めるのは患者様なのですから、歯科医院のほうで患者様に矯正治療を受けるように誘導しているのは、医療従事者としては賛成しかねます。
まるで宗教や英会話などへの執ような勧誘まがいの説明をして、矯正治療を受けさせようとしているという話を患者様から聞くたびに驚いてしまいます。
必要以上に、矯正治療をしないことへの恐怖心をあおられたりして、治療を受けさせられそうになったら、一度冷静になるためにその場を去って考え直してみて下さい。
今の説明は、患者様のことを心配してした説明なのか、歯科医が治療して欲しいからした説明なのかを見極めて下さい。
あくまで客観的な立場で説明してくれる医院がお勧めです。
そういう意味から言えば、メリットよりもデメリットをきちんと言ってくれる院長程、信用できる医院だと言えるでしょう。
6.長期的に歯を管理してくれる
従来の矯正治療のように、矯正治療が終了したら全て終わりと言うのではなく、その後長期に渡って虫歯や歯周病のチェックや治療などトータルで歯を管理してくれることが理想でしょう。
7.経営的に安定している
最近では、過当競争による歯科医院の倒産が注目され始めています。
矯正治療途中の歯科医院の倒産による患者様への治療費の返金等のトラブルが新聞に掲載されました。
今後は矯正歯科医院を選択する際にも、経営的に安定していることも大切になってきます。
矯正を始めたけど、治療が終るまでに倒産してしまったでは詐欺のようなものですからね。
経営的に大変なところは、院長の気持ちに余裕がないので患者様に治療を強要しようとする傾向があります。
全体矯正においてはさらに、
8.矯正治療と顎関節症の症状についてよく説明してくれる
矯正治療と顎関節症の問題に関しては、ある意味でアンタッチャブル(触れてはいけない)な関係の感が長年ありました。
噛み合わせの考え方が二転三転していて、一定の考え方がないので、歯科医院によって説明が違ってくる場合も多いと思います。
いくつかの医院でこのテーマの質問をして、自分が納得できるところで治療するのがいいと思います。
相談する歯科医院に「矯正治療と体調改善は関係しています?」という質問をして見られると、その医院の噛み合せに対する考え方が分かります。
「矯正治療と体調改善は関係ない」というスタンスのところでは、矯正治療は噛みあわせの改善のためにするのではなく、美容のためにすると考えていることになります。
患者様は素人なので、専門知識はありませんが、それでもいくつか説明を聞けば、どの考え方が正しく思えるかがわかってくると思います。
見た目よりも、体との関係、噛み合わせの説明をよくしてくれる医院ほど噛み合わせに重点を置いて治療している所だと思います。